イーグリ設計局 綱領 |
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目次◆ゲーマーの解放◆AIと共存する作品づくり 2023年6月26日掲載 ゲーマーの解放第一段階 金銭的搾取からの解放イーグリ設計局が目指す、最初の解放の戦線です。現代の人々は、日々の仕事に追われるがために、知的好奇心や時間を搾取され、安易に強くなったかのように錯覚できるソーシャルゲームに傾倒し、金銭的に搾取されています。 こういった現象は人々の生活の質が低下したがために起こった出来事であり、ソーシャルゲームは現状のマーケットの情勢を踏まえて汎く商業的に展開されているにすぎません。 人々の生活の質が向上すればソーシャルゲームはほとんどの人がしなくなるでしょう。誰しもが働きながら、十分な収入を得て、新しい遊びに挑戦する時間が得られるようになれば、スマートフォンにしがみついて休日を、お金を払いながら浪費することもなくなるのです。 イーグリ設計局としては、人々の生活の質をどうにかすることなどできませんが、お金を払うだけで勝てるようなゲームとはまったく別の答えを世に示していきたいのです。 もっとお金が欲しい、もっと自分の時間が欲しい。そういった人々の気持を刺激していければよいなと思います。 第二段階 単純作業からの解放第二の解放戦線です。かつての原始的なビデオゲームの時代においてはプレイヤーに反復的な単純作業を強いることでクリアまでの時間を稼ぎ、フロッピーディスク一枚程度のデータに現代日本人の日給の半分近く値段をつけて売るということが行われていました。 一方で、現代は光回線の普及などによりCD-ROM数枚分に相当するような量のデータがものの数分でやりとりされるようになり、インドアの娯楽も非常に多様化してくることになりました。 こういった中でゲームが果たすべきその役割とは、単純作業によって時間を浪費させることではなく、Youtubeやその他の娯楽媒体が果たせないもの、能動的な操作によって知的体験を行うものであると考えています。 まず前傾の目標であるプレイヤーを単純作業から解放するために、多段的なレベルデザインを行います。 そこには低いステージと高いステージが併存し、前者では単純作業を局面打開の主な手段とし、後者では判断と思考を打開の手段とします。 あくまで推奨するのは後者のステージですが、前者のプレイヤーが望むのであれば後者のステージへ移行する手段を確保しておきます。 第三段階 知識からの解放かつてのACTなどでよく見られた「初見殺し」「覚えゲー」などのそのゲームでしか役に立たない知識は邪魔なものであると考えます。そのゲームでしか役に立たない知識よりは、そのジャンル全体で役に立つ知識。ジャンルの知識よりは、より幅広いゲームで活かせる知識を重んじ、そして最も重んじるのはゲーム外のことでも役に立つ知識です。 ただし、クイズゲームのような形式を至上と考えているわけではありません。プレイヤーがゲームを通じて学んでゆくべきことがあり、もう答えを知っているプレイヤーだけが優位になれるゲームデザインも好ましくないと考えています。 第四段階 エロからの解放2011年ごろに台頭したエロRPGというジャンルは幅広いクリエイターにチャンスをもたらしました。全年齢では専業でやっていくなど夢のまた夢の話でしたが、エロRPGがもたらした新たな経済のパイは、これまでの同人の常識を大きく覆すものでした。 一方で、エロRPGには大きな制約があります。それはエロシーンが無くてはならない、ということです。 ゲームコンセプトは段階墜ち、寝取られなど性癖に従属する形になり、エロがメインだということもあってゲーム性においてあまり挑戦できない環境でもあります。 しかしゲーム性に期待されず、抜くためだけにプレイされるゲームというものは、その存在に矛盾をはらんでおり、いずれはアイデンティティを喪失してしまうジャンルなのではないか、と考えています。 と言うのも、二次元だけに限ってもpixivやニコニコ春画、Iwaraといった様々なエロコンテンツがあり、ゲームとして成立させることが難しいような特殊すぎる性癖も転がっています。 そういった中で、抜くためだけにエロRPGをプレイするのは不毛でしかないのです。 最終段階 ゲームからの解放あくまでゲームとは、何かの代償でしかないと考えています。この現実の世界においてさえも、われわれがまだ認知していない事象は星の数ほどあり、中にはいかなる分野の、いかなる国の学者によっても発見されていないものもあります。 あくまでゲームとは知的好奇心の補助ツールにすぎず、プレイヤーをあまり長時間拘束せず、より広い興味を持ってもらえるものとしていければよいなと思います。 ◆目次へ AIと共存する作品づくりイラストレーターの雇用の質と量を促進するイーグリ設計局12年の歩みにおいて、イラストレーターに適切な指示ができずに期待通りのイラストを納入してもらえなかった事が幾度かあった。NovelAIを始めとするイラストAI技術は、イラストレーターへより精度の高い資料を提供可能にし、これまでのインターネット上で雑多に集めた資料だけではなく、発注者側が能動的に作り上げた資料を共に送ることができるようになった。 イーグリ設計局は、イラスト生成AIをイラストレーターの雇用機会を奪う存在ではなく、イラストレーターの雇用の質と量を改善するためのツールとして活用してゆく。 利益が期待できない分野をカバーするエロRPGにおける一丁目一番地とは、エロシーンにおいて表示される一枚絵いわゆる「CG」であり、物語の中に登場するモンスターなどのグラフィックは単なる添え物にすぎず、エロRPGにおいてはRPGツクールのプリセットやフリー素材で済ませる事が多くあった。これらプリセット素材やフリー素材はそれなりにクオリティが高く、アニメ塗りでも済ませられるエロシーンのCGとは大きく異なり、オーダーメードした場合の一個あたりのコストは無視できないものであった。 しかしながら、イラスト生成AIはこれまでに選択肢が乏しかったモンスターグラフィックを生成することが可能であり、長編級のRPGであっても、一切フリー素材を使用しないことを可能にした。 これとは別に背景で、特に建物が雑多に存在しているような空間など、コストの都合でこれまでに多くの作者が忌避してきた分野を積極的に作り込むことを可能にした。 絵師作者主導の界隈からゲーム作者主導の界隈へ現在、ダウンロード同人におけるエロRPGジャンルの、販売本数の総数でみた主力は、ゲーム作者畑ではなく絵師畑で育った所謂「絵師作者」である。この絵師作者とは、自らが企画し、自らがイラストを描き、自らがゲームを完成させるという非常に小回りが効く存在であり、自由な時間が乏しいこの日本社会において数少ない余暇から、ダウンロード同人界隈で着実に成果を上げていった。 対してフリーゲーム開発などでキャリアを積んでこの界隈にやってきた「ゲーム作者」は、自らイラストを描けないことから外注に頼らざるを得ず、本格的なゲーム性を志向することから工数やコストの肥大化により、成果を上げることが難しかった。 しかし、イラストAI技術は発注者とイラストレーターの間にある認識の違いを埋めることが出来、より精度の高い発注を可能にした。 また、エロRPGにおいてモンスターグラフィックや背景といったコストをかけることが憚られる分野において、独自性を見出す可能性を生み出した。 このように、イラストAIの登場は、これまでにエロRPGにおいて期待されることのなかった「RPGらしさ」が復権する機会をもたらし、ゲーム開発者がより躍進する可能性をもたらした。 健全なAI利用の妨害へ断固としてたたかう2023年5月における、DLsite、pixiv Fanboxなどにおける創作界隈各社における一律的なAI生成作品の一方的な利用制限は、大量のAI生成イラストを詰め合わせてそのまま商品とするような、一部の良心のない業者によってもたらされた懸念すべき事案が背景にあることを鑑みつつも、これまでに様々な制約により本格的なゲームを志向することのできなかったクリエイターに対する妨害であり、ここに遺憾の意を示す。◆目次へ | |||
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